初のオンラインイベントでした。
今でこそ、いろいろなオンラインイベントを誰でも気軽に開催していますが、告知した当時は珍しかったようでした。
道内の人が多いかと想像していたのですが、そうでもなく、どちらかというと少数でした。
他の地域の方や、地元にきょうだい会のない方が参加されていて、他の団体の運営者もそこへ混じって、きょうだい会のあり方、支援のあり方などについても意見交換ができるという、素晴らしく建設的な会になったと思います。
あらためて、「やってみる」ことの大切さを実感させていただきました。
また、きょうだいの立場ではないけれども、きょうだい支援に携わっている方と、将来そのような支援者を目指している方とが陪席してくださり、質問などしていただけたことで、さらに広がりを持てたことも、素敵なことだったなと感じています。みなさま、本当にありがとうございます。
実家との距離、職業選択について
・親に、金銭面の負担をかけないように、とにかく就職しなきゃと思っていた。
実家を出た後でも、何かあったら仕事があっても面倒を見るように頼まれたりもした。
土日は実家に帰らないといけないんです、と同僚に話したら、「そこまでする必要があるの?」と言われて、これはやりすぎなのだと気がついた。
キョウダイのことが心配なのはすごくよくわかるが、自分が本当にやりたい仕事かどうか、を大切にしてほしい。
仕事をするとすごく苦しいこともある、嫌なこともある、いいことももちろんある。
苦しいことがあっても乗り越えたいと思うくらい、やりたい仕事なのかどうか、というところを大事にして、と他の人にも言っている。
他に助けてくれる人がいない人もいるので、強く言うこともできないが、可能な限りは自分を大事にしてほしいと思っている。
・仕事は紹介してもらって始めた。成り行きで始めたが、途中で楽しくなってきた。
自分の時間が持てて楽しかった。家庭の事情で実家に戻らなければならなくなったが、それまでの、充実した時間があったから戻ろうと思えたようにも思う。
趣味の時間が持てたことや友人との関係などを作れたのは大切なことだった。
・自分がやりたいことを選ぶのが大事かと思う。
続けられそうな仕事を選ぶことと、実家にいる・いないは分けて考える。
きょうだい会の立ち上げ
・きょうだい同士が繋がる機会は、少なくとも中学生の頃には必要だと思っている。
・年代問わず、きょうだいの立場の人が集まれること自体が、地域によっては大切な気がする。
地元には、会自体がないので、一つでもあってほしい。
・大学の中のきょうだいサークルがあるところにはあるが、大学にも必要だと思う
・世代を分けた方がいいときと、一緒にやった方がいい時とある。
大学生だから盛り上がりたいとか、親なきあと問題を話したいとか、いろいろニーズはある。
1日の間に、小さいきょうだい&親の対応と、大人の飲み会を両方やるということもできる。
・自分の参加していた会には、大学入りたてぐらいから70代までいた。
当時20代だった自分は、大先輩が話していると話しづらいという気持ちがあった。
・地元にはまずきょうだい会がなかったので、「きょうだい会」という名前を広めてから、分科会のように分けていくのがいいか、と考えている。
・立ち上げに関して、勇気が持てた。まずは、年齢制限せずにきょうだいの仲間を増やす意味で、集まって話しましょう、という形からやってみたいと思う。
・イベントをやると、広報しやすく、取り上げられる機会もある。例会もいいが、バーンと大きなことをやってみるのもいい。
親に対する気持ち
・キョウダイについての、親からのメールがモヤッとすることがある。
親なきあとに親と同じように面倒を見てくれるきょうだい像を勝手に作られている気がする。
一人暮らしをし始めて、実は嫌だったなというのがわかったところはあると思う。
・自分の予定を犠牲にしてキョウダイのことに対応するのが当たり前、という感覚しかなかった。
実家と距離ができて初めて、本当は嫌だったんだ、と気づいた。
キョウダイの面倒を見ること自体が嫌なんじゃなくて、「あなたは面倒を見てくれるよね」という前提で親から言われることが嫌だった。
・以前は逐一「それは嫌だ」と伝えていたが、今はそのエネルギーもなく、にこやかに対応するようになってしまった。
不満とかストレスを言えることはいいことだと他人には言うが、営業スマイルしてしまうことが多いかもしれない。
・モヤモヤがずっとあった。
親に、「お前が死んだらキョウダイの面倒誰が見るんだ」と言われたのがすごくモヤモヤした。
その後、自分のやりたいことをやると主張し、喧嘩をしたときに、「自分は親じゃない」と伝えた。
親はすごい凹んでいた。凹んでいたが、言ってよかったと思うし、親も言われてよかったと言っていた。
自分を大切にするためには、ぶつかる必要があったと思う。
そして、親は素直な人なので、そう思ってくれたのだと思う。
話を聴いてくれる相手に求めること
・聴くに徹することができれば十分なのではと思う。
きょうだい同士でもうまくコミュニケーションできるとは限らない。
・障害に関するある講演を聞いたとき、とても感動した。
その話者に、講演後に駆け寄り、他人に初めてキョウダイのこととキョウダイへの気持ちを話した。
手を握ってくれて、「まず、その自分を認めること」と言ってくれた。
ずっとためこんできたものが、涙として流れ出てきた。
人に話せるって、こういう気持ちなんだな、という体験をした。
自分と背景の違う人でも、自分のことを話そうという気持ちになれることはあると思う。
・小さいときから、親子関係のモヤモヤもあるし、キョウダイの障害自体をどう受け止めたらいいのか、というのがはっきりしなくて、溜まっていった感じがあった。
生死に関わるような重い話だったりすると、聴く方にも負担をかけてしまう。
そこを調整して話さなければならないように感じていた。
きょうだい会に初めて参加したときには、泣きながら話したりした。
その時、初めて自分を解放できた感じがした。この世で一人じゃないんだという感覚を初めて味わえた。
最初から、一般の友達に話すというのはハードルが高かったと思う。
同じ境遇だから話せたというところはあると思う。
専門家みたいな人に話をしてもよかったんだろうけど、そういうところに繋がる道筋というのが難しかったと思う。今後、機会があったらそういうことをしてみてもいいかなとは思っている。
・周りの人には、話を聞いてほしい気持ちもありつつ、きょうだいが今置かれている立場で、どういう気持ちでいるのか、きょうだいの視点を知ってほしいなという思いがある。
「キョウダイも親も大変なのだから、あなたが頑張ってね」とか、
「あなたが弱音を吐いたらいけないでしょ」だったり、
「あなたもキョウダイがああだから、あなたもちょっとおかしいのかもね」などと言われたりもした。
また、「親は大変かもしれないがきょうだいは大変なことないでしょ」という見方の人も多い。
そして、「きょうだいが支えるのが当たり前でしょ」という認識の人が多い。
まずはきょうだいの大変さを知ってもらうというところを、広めていってもらえたらと思う。
・自分は周りに恵まれていたと思う。友達や、先輩、後輩など、他の人が弟を支えてくれている状況があって、あまりモヤモヤせずに済んできた気がする。誰に伝えたら?と悩んだりすることもなかった。
でも、どんな人だったら話したいか、と聞かれたとしたら、信頼関係がある人しか言えないかな、と思う。
新型コロナウィルスの影響
・キョウダイがいつもみているテレビの番組が変更になって暴れたりはしている。
・先行きがわからない中で、施設入所していると、関わりを持てない状況になっている。
コロナの対策のためにお見舞いに行けないなどの影響がある。
直接電話口に出られるならいいのだが、そうでない場合もある。
・いつもなら5月の連休は自宅に帰ってくるが、今年はできないのかもしれない。確認していないが。
・知的障害があると、コロナが騒がれているのに、なぜ出掛けてはいけないのかが理解できず、電車で出かけたり、カラオケに行ったりしている話を聞く。心配になる。
自分がかかっていてもそれを表現できるのか、家族も制御できない中、どうしたらいいのか、と悩んでいる人も多いと思う。
どうして外に出られないんだ、と暴れたりもするので、学校に緊急的に預かってもらうようなケースもあるらしい。
対人不安の悩み
・ずっと小さい頃から、怒声が聞こえるみたいなことを経験していて、予期不安みたいなものがある。
常に、人に何か言われるのではないか、と思ってしまう。
なるべく人と関わらないような仕事を選ぼうとしてしまうこともある。
自分でも克服しようと、人と接する仕事をしようとしたりもしたが、常に恐怖がある。
・自分も同じで、親から怒られたり殴られたり、上司も怖い人だった。
人が好きなんだけど、怒られるのが怖い、というのを抱えながら生きている。
施術でストレスを抜いてもらったり、人に聞いてもらったりもしている。
そのように不安になる気持ちはすごくわかる。
・同じ悩みを持っている。常に周りのことを気にしてしまって、仕事に支障があったりする。
プライベートでも、周りの目を気にしがち。常に怖いし、人と喋るのが怖いし、周りの目線を気にするし、というのがある。いまだに悩み続けている問題。
心掛けていることは、人と関わる中で、最低限しか関わらないようにしていて、帰ってからの自分の時間で、自分を癒す時間を極力作るようにしている。
人は人、自分は自分、というように思考を切り替えて対応している。
きょうだいに理解のある人がいて、その人に聞いてもらったりもしている。
話せる相手ができたというところで、だいぶ楽になったと思う。
でも悩むので、気持ちはよくわかる。人との関わりと、自分の時間をくっきりと分けて対応している。
・自分も人の目を気にしてしまうところがある。そういう時はSNSに書いたりしている。でも、こうしてみんなと話すのもいいなと思った。
感想(茶話会でのコメントおよび事後アンケートより)
・色んな方のお話が聞けて、楽しかった。なかなかうまくネット回線が繋がらず…。こういう形も面白いなとは思ったが、オフラインのよさを改めて実感した。
・zoomで話すのって苦手だったので、参加するのを迷ったけど、楽しかった。こういう形でも楽しいんだと思った。
・zoomが初めてだったのでうまく操作できるか不安だったが、なんとかなってよかった。思ったより対面と違わなかった。こういう形で話せるのもいいなと思った。皆さんの話を聴けてよかった。
・これまで長く生きてきて、初めてきょうだいの人と話せて、皆さん話を聞くのが上手いな、と思った。今日は参加できてよかった。また機会があったら、こういうコミュニティに参加したいと思った。
また、自分が如何に考えていないかを痛感した。 もう少し自分がどう思っていたか、これからどうしたいか、親とどう向き合うかの言語化を出来ればなと思わされた。 きょうだいである事を打ち明けることに凄く凄く抵抗があったが、参加して本当に良かった。
・参加できてよかった。いろんな方と繋がれたらなと思った。
・zoomも初めて、きょうだい会も初めてだったけれども、参加できてよかった。
地元に自分が参加できるきょうだい会は無いので、今回参加できて良かった。
SNSで書くだけではなく、リアルタイムで話したり聞いたりということができて、嬉しかった。
実際に話せる、聞けるという場が本当に嬉しかった。 また機会があったら、ぜひ参加したい。
・全国の人たちと話すことができるのはすごいことだなと思った。初めてのきょうだい会がこういう形だったけれどもよかった。
・北海道から沖縄まで揃ってすごいなと思いました。
・この形が、意外とリラックスできるのかもしれない、と思った。
陪席された方より
支援者を目指すAさん:感謝しかない。今回この機会をいただいて、すごい、これからも機会があったら参加したいと思ったし、今は皆さんから、受け取ってばかりだが、これからは、与える側になりたいと思ったし、支援を広げていきたいなと思っている。
吉先生:初めてこんな若いメンバーが集まったきょうだい会に参加しました。とても新鮮な感じです。
就職についてみなさんはどのように考えていましたか、きょうだい会を立ち上げたいからどうしたらいいですか、のような質問が大変建設的でいいなあと思います。
1人暮らしになってからの気づき、親との距離の取り方の工夫も大変興味深かったです。
それぞれ元気に頑張っておられる姿に心打たれます。
吉沅洪先生プロフィール:立命館大学所属。自分はきょうだいではないが、きょうだいの支援をしている。スクールカウンセラーとして働いていた時に、きょうだいと出会い、きょうだいが学校の先生や親にいろいろと頼まれてしまっている様子を見かけ、きょうだいの生きづらさに気がついた。それからきょうだいについて学ぶようになった。32年前に来日、中華人民共和国の出身。最近、日本、台湾、中国の「きょうだい」の調査を行なった。