「障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア」代表の渡邉護さん(司法書士)をお迎えして、勉強会を開催しました。
「ファミリア」では、親御さんが亡くなったあと、障害当事者がどういう制度を使って社会に守られていくのか、十分な介護をどのように受け入れていくのか、ということを、親御さんと一緒に考えていくという活動をしています。
今回は、「きょうだいの視点」をふまえてお話していただきました。
目次
1. 親なきあとのファイナンシャルプラン
まず、親なき後にどんなふうにお金がかかってくるのか、どういう風に生活していくのか、という点が気になります。
下記の順にお話いただきました。
・どんなサポートがあるのか?(支援の種類と概要)
・いくら準備しておけば安心なのか?(家計・金銭面)
そもそもどんなサービスがあって、金銭面でもどんな準備が必要なのか全然イメージできない人もいると思います。
代表的なものをひとつずつ見ていきましょう。
1-1 生活面のサポート
生活面をサポートするサービスには主に、施設入所支援、デイサービス、グループホームがあります。
1-1-1 施設入所支援
施設入所は、24時間完全介護、集団生活です。
<メリット>
障害年金の範囲でまかなわれるところがほとんどで、お金の面は心配なさそうです。
お金の管理も基本的に施設が行います。
<デメリット>
山の奥にある施設も多く、家族がまめに会いにいくのが難しいという状況があります。
(都市部に施設ができるといいのですが・・・)
また、重度の障害のある方しか入れないということがあります。
人気があるため、空きがないことも多いです。
1-1-2 デイサービス
デイサービスは通所支援です。習いごとのように、日中(=デイ)の時間帯に通います。
さまざまな事業所があり、プログラムの内容も異なります。
ヘルパーさんや、訪問看護を利用される方が併せて利用する形になることが多いでしょう。
1-1-3 共同生活援助(グループホーム)
グループホームは、アパートを借りる感覚に近いです。
「世話人」と呼ばれるスタッフがつきます。
お金は基本的に入居者が自分で管理するので、自由に使えます。
家賃代+食事代+その他自己負担サービス料などがかかり、障害年金を超えてお金がかかってきます。
このように、生活のサポートをするサービスを利用するためにお金がかかってきます。
次は、これらを利用するとどのぐらいのお金がかかるのかを見ていきます。
1-2 親なきあとの家計
1-2-1 事例
42歳女性 障害年金等級1級 共同生活援助(グループホーム)利用の場合
支出 114,000円(内訳は下記)
- グループホーム家賃 69,000円
- 衣服・日用品 10,000円
- 生活介護(週5回利用)5,000円
- ガイドヘルパー(月1回利用)10,000円
- 成年後見人報酬 20,000円
収入 80,000円(障害年金1級)
→ 差額 34,000円の赤字!
グループホームでも、家賃が32000円などのところもあります。
なぜ安いのかと言えば、世話人の人件費が削られているという背景があったりします。
そのようなところであれば、障害年金内でおさまる場合もあります。
入所先は、相談支援事業所の人と決めていきますが、必ずしも障害年金範囲内でおさまるところに入れないといったことがあります。。。
1-2-2 収入
・障害年金
2ヶ月分がまとめて支給されます。ひと月あたり約6〜8万円ですが、障害の等級、個人・地域によって金額が変わります。毎年手続きが必要です。
障害の程度に応じて、等級が変わることがあります。この障害年金を基礎として、足りない部分を埋める方法を考えると下記の3つになるかと思います。
- 生活保護制度
- 働く(就労)
- 親などがのこす(相続)
これらを順に見ていきましょう。
・生活保護制度
約15万円/月。地域、自治体などによって額も変わります。下記のような難点があります。
- ケースワーカーによる裁量が大きい
- 申請する相談窓口の態度は担当者によって全然違う
- 通いたい病院を自分で選べない(登録した病院・薬局で、医療券で医療を受ける)
- 生活の質を上げるような自由な支出は認められない(世界一周旅行したい!など)
- 日々、社会保障制度が変わり支給額も増減する
いい担当者に当たることを祈りたいです。。。(医師も)
・就労
障害者枠での一般就労のほか、「就労継続支援事業所(A型またはB型)」を利用される方が多いです。
→ 厚生労働省資料「障害者の就労支援について」
・A型:「雇用契約」なので、最低賃金以上での支払いがあります。
・B型:「工賃」なので、最低賃金に満たない額の支払いでも良いことになっています。お小遣い程度の額にしかならないことが多いです。こちらでは、生活保護に満たない収入となってしまいます。
○ 平成18年度と平成25年度を比べると、利用者1人あたりの平均工賃月額が2万円以上の事業所の割合は増加していて、全体の2割弱となっています。
○ 平均工賃月額が1万円未満の事業所の割合は減少しているものの、全体の約4割となっています。(平成27年7月14日 厚生労働省資料「障害者の就労支援について」より)
一般就労の障害者雇用は増加してきていますが、助成金目当ての企業もあり、障害への理解があまり進んでいない状況があるようです。
・のこす
のこすといっても、どの程度あればいいのでしょうか? むやみやたらに残す必要はありません。
◎子の必要生活費を40歳~90歳の50年間として考えた場合
40~60歳 114,000円/月×12ヶ月×20年
60~90歳 200,000円/月×12ヶ月×30年
*関わる法律が60歳を境に変わる(現行法)ため計算が変わります
→ 9936万円 必要!
◎子の収入(障害年金1級のみで計算)
約80,000円/月×12ヶ月×50年=4800万円
◎不足分 9936万円ー4800万円=5136万円
この部分を、何かで備えられれば万全です(生命保険・貯金・投資・・・)。
ただ、急に親御さんを亡くされたとして、このような大きな金額が障害のある方やきょうだいの手元にきても、どうすればいいかわからない! ということも往々にしてあるでしょう。
そのようなことなどのために、どんなことを備えるべきでしょうか。
2 親なきあとの財産管理・契約における問題
親なきあと、のこされるお金やもらえるお金が十分にあるとしても、困るのは次のようなことです。
2-1 財産管理面
2-1-1 自由に動けるぶん犯罪に巻き込まれやすい知的障害・精神障害
障害のある人は、お金を持っていても、詐欺などのトラブルに巻き込まれやすく、男性であれば、ボッタクリバーのようなところでいくらでも脅し取られてしまうことがあります・・・。
一度払ってしまうと目をつけられ、連続して被害に遭うことがあります。事例では、1500万円などという大金を取られたこともあるようです。
2-1-2 悪意のある保護者・後見人の存在
親族や専門家による横領についての統計が出ています。
専門家後見人による「横領」は確かに割合としては少なく、親族による横領が後を絶たないため、裁判所は専門家を後見人として選ぶことが多かったのですが、専門家は親族とコミュニケーションの面でトラブルになるケースも多く、最近は親族が後見人になることも受け入れられるようになってきています。
専門家後見人になれる人は、社会福祉士、弁護士、司法書士などです。
2-1-3 家計管理がうまくできない・あるだけお金を遣ってしまう
親御さんが一番心配しているのはこのことのようです。
障害のある方は、家計管理ができず、特に悪い考えもなく、浪費してしまうことがあります。
通信販売では、決済方法によっては「お金を使っている」「あとこれしかない」感覚が得られないことが多いので、障害のない方でもつい使いすぎてしまうことがあるでしょう。
テレビで繰り返し放送されている通信販売番組を見ているうちに欲しくなり、電話してしまう、ネットショッピングの乱用をやめられないこともあります。何度言っても、わかったと言っても、どうしても、使ってしまうんです。。。
2-2 契約面
管理ができないという困りごとのほか、下記のような法律上の制限があるために困ることがあります。
- 日常的な買い物を除いて、本人に「意思能力」が必要 → 単独で契約ができないことがある
- 判断能力がない状態の契約は「無効」=自分で契約できないことがたくさんある
- 遺言が遺せない(本人死亡のあとは、財産は国庫に・・・)
これらを補うために本人を代理する成年後見制度があり、後見人、保佐人、補助人などが必要になります。
2-2-1 相続と遺産分割の問題
「相続人」とは誰のことかイメージがつくでしょうか。
配偶者、子(配偶者が1/2、残りを子で均等に分ける)・・・というおぼろげな記憶があるかもしれませんが、本当は、割合は遺言によって自由に決められます。
預貯金は、本人が亡くなったときにすぐ凍結されます。おろせなくなります。
遺言が残されていない場合、財産の整理をするためには、相続人であることを証明する法的な書類と、相続人全員の実印と印鑑証明書がある「遺産分割協議書」が必要になってきます。亡くなった方名義の口座のお金は、手続きなしにはすぐに使えないのです。
あなたの家族は、全員が実印登録しているでしょうか。それをそれぞれが把握しているでしょうか。
そして、相続人が誰かというのは、戸籍謄本を全部見ないとわかりません。
今まで全然知らなかったけどほかにきょうだいがいた!!ということも、現実にあります。
銀行も法務局も厳しい、この一連の手続き関係は、プロが代行してもかなり大変なことです。
それが、遺言さえあれば、その苦労をしなくて済むのです。
こういったことから、渡邉さんは、親なきあとのセミナーのときに「帰ったらまず遺言を書いてください、10分で書けますから」とお願いされているそうです。
「遺産分割協議」は契約行為にあたるので、障害を持った方が相続人の中にいると、これが成立しないという問題が出てきます。
その時はどうするのかというと、契約行為を行う為の代理人=後見人が必要になるのです。
そもそも、障害を持った方が契約行為に必要な実印登録などをしているのか? 手続きができるか? という問題点もあります。
成年後見人が決まるまでに4ヶ月ぐらいかかったり、費用が発生したりします。
これらのことから、「遺言さえあれば」とお伝えしているそうです。
しかし、遺言書を書いてくれ、というのは、きょうだいの立場から頼みづらいかもしれません。
そういうときには、第三者の力を借りる=親なきあとセミナーに足を運んでもらう、自宅で相談に乗ってもらうなど、専門家に協力してもらうことが大切でしょう。
2-2-2 家族による財産管理の問題
一般的に、(家族も含めて)横領などから本人の財産を守るために、成年後見制度を使わないと良くない、ということになっています。
ですが、障害のない人でも、いきなり5000万円もらっても「どうしたらいいかわからない」ということもあるかと思います。
障害があれば、なおさらだと思います。実際のところは、暗黙の了解で、家族が管理しているケースもあると思います。ただし、横領を疑われるというリスクがあります。
3 問題の解決策
ここまでのいろいろな問題について、成年後見制度を利用することで解決できることがあります。
- 悪質な業者への対策 = 契約を後から取り消すことができる
- 本人の浪費への対策 = 預貯金から小遣いのように使うので使いすぎることがない
- 遺産分割と成年後見、不動産の売買と成年後見 = 難しい契約や遺産分割協議を代わりに行ってくれる
ただし、次のようなデメリットもあります。
3-1 成年後見制度のデメリット
3-1-1 後見人は選べない
障害を持つ子どもの方が浪費してしまわないか心配
きょうだいの娘には家庭があるから負担をかけたくない
きょうだいの娘にも財産を残してあげたい
きょうだいの娘自身は自分にできることがあればやりたいと思っているが頻繁に会いにいくことはできない
などというケースがあるとします。どうしたらいいでしょうか。
成年後見制度は、財産管理が自分でできない人のために、代わりに管理してくれる人を、家庭裁判所が選ぶという制度です。司法書士が選ばれることが多いようです。
裁判所が決めるので、後見人は、自由に自分で選ぶことができません。
事件になるような形で専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が横領などの不正を行うことは統計を見ても少ない(年間502件中30件:2016年)ので、横領を防ぐということで考えると、親族よりは専門家の方が事件を起こしにくいということで、今までは、裁判所も専門家を積極的に選ぶようにしてきました。
しかし、問題がないわけではありません。
後見人として付けられた専門家には、あまりコミュニケーションを上手く取れないタイプの人もいて、家族とトラブルになることもあります。
このため、きょうだい(などの親族)が後見人になりたいという希望を家庭裁判所に出した場合は、これまでよりもなりやすく(選ばれやすく)なったという背景がありますが、きょうだいがならなければならないというものではありません。
3-1-2 家計が苦しくなることも
後見人がつくと、「お小遣い制」になります。
こうなった場合に、障害のある子どもの障害年金が、家計の中で大きなウエイトを占めていて、それで家族の生活が成り立っていたような家庭では、その障害年金も自由には使えなくなり、さらに後見人報酬も取られるという形で、生活が苦しくなってしまうということもあります。
後見人報酬は、月2万円からが相場と言われています(これも固定ではなく、ケースバイケース)。
たとえば、認知症の人が成年後見人をつけて亡くなるまでの期間と、障害のある方が成年後見人をつけて亡くなるまでの期間では、一般的には後者が長いのですが、そうすると、生涯で成年後見制度にかかる費用がとても高くなります。
この制度がそもそも障害者を想定して作られたものではなく、高齢者の財産管理の問題を想定して作られたものなので、このような問題が出てきてしまいます。
これらのことから、遺産はきょうだいが全額預かり、そこから小遣い制で、障害のある子どもに渡すようにして欲しい、という対策を取られる親御さんもいます。
しかし、突然親が亡くなり、遺言の準備がないなど、仕方なく後見人を付けなければならなくなるケースもあります。
遺産として相続した不動産を売らないとグループホームに入れない時などの契約代行など、後見人には本人には難しい手続きをしてもらう必要があります。
3-1-3 本人の意思であっても自由に使うことはできない
成年後見人がついた場合、本人の日常の生活を支える以外の用途に財産をつかうこと、たとえば、本人が親に仕送りしたい、世界一周旅行したいとなった時、裁判所がダメと言う可能性が高いです。この部分では、後見人も困ったりしています。
これは日本独特の問題のようで、欧米では本人の希望を尊重する体制が整っているそうです。
3-1-4 後見人を一度つけると外せない
成年後見人は、一回つけてしまうともう外せないと思った方が良いです。
精神障害者(寛解し、十分な判断能力があると客観的にも認識されるようなもの)は判断能力があると認定される可能性がゼロではないですが、知的障害のある方などの場合に、判断能力がつい他ので成年後見人を外しても良い、となるということは、考えにくいと思われます。
以上のことから、3ー1ー1で挙げたようなケースでも、成年後見制度を利用するかどうかというところは、慎重になる必要がありそうです。
3-2 相談事例・質問
渡邉さんがこれまでに受けた質問の回答などをご紹介します。
Q 専門職の後見人を付けた場合と、家族が後見人になった場合と、どう違うの?
A 専門職:お金がかかるがラク 家族:費用は発生しないが管理の手間が大変 です。
親御さんは安易にきょうだいに任せれば大丈夫、というケースがあるのですが、「本当に大丈夫ですか?」というところは確認するようにしています。というのは、後見人の仕事はとても多いからです。
本人の収支の管理、病院や施設とのやりとり、支払い、本人との面談(最低でも2ヶ月に1回以上)、医療同意(急な手術などの際に必要)などもあります。
プロが報酬をもらってやっても「割に合わない」と思われています。
たとえば司法書士事務所の経営を考えたときに、後見人の業務を仕事としてやるには、30人以上一手に抱えて効率的にやらないと元が取れないとも言われています。
しかし本来であれば、後見人というのは本人と密接に関わり、本人の幸せは何なのかというところを考える仕事なのです。それを、一人の司法書士が30人引き受けるというのは、とても無理があることではないかと考えます。
Q 市民後見人・法人後見とは何か?
A 市民後見は一般の方にボランティアで後見人業務をやっていただけるもので、法人後見というのは株式会社やNPO法人などの法人が後見人をすることです。
専門職以外の人が個人から報酬をもらいながら後見人業務を行うことは法律上できないことになっています(業法違反)。これは、家族などが集まって法人格を作り、法人後見をしようとするなども同じで、専門職でなければ個人を対象とした業としてはできないことになっています。
札幌市内は、現状では法人後見の例はほぼなく、社会福祉協議会が特殊な例(身寄りがなく、行政が申し立てをした等)などに限り、法人後見しているとのことです。
Q 遺言の内容はどうしている人が多い?
A 「障害のある子には『お金』を残さない方がいいかもしれない」と考える方もいます。
障害者には、生活保護、障害年金などの制度があるので余計なお金はいらない、と考えるならば、それは正しい部分もあるかもしれないです。
ただし、生活保護を受けてしまうと支出の内容に制限がかかるので、本人の幸せや自由はどうなるのか? という点が、判断の難しいところかと思われます。
Q いつまでに対策をしたら良い?
A 誰にでも、ある日突然認知症などの病気になってしまうリスクがあります。なってからでは遅いです。親御さんがまだまだそうなりそうもない、元気なうちに関係者が集まり、話し合って対策を立てておくことを強くお勧めします。
Q 障害を持っている人が後見人報酬を2〜3万円払うというのは高いのではないかと感じるが?
A 高いと思います。お金がないところからはその額は取らないようです。
財産の状況によって8000円、1万2000円などになることもあります。生活保護費から払っているケースが多いときいています。家族からお金を払っているというところもあるとは思いますが。
Q 遺言を書いてもらうのが大事と言われたが、どう書いたらいいのか?
A 家族構成や本人の思いにもよりますが、配偶者に全財産渡す、というのだけでも書いておいてもらえると良いかと思います。
例えば、亡くなった人の口座から生活に必要ないろいろな支払いをしていたという場合には、凍結されてしまうとすぐに困ることになります。凍結されてしまってから、遺産分割協議をしなければならなくなると、とても大変です。生活費、葬式のお金などを別で考えなければいけなくなってしまいます。
遺言書の書き方はインターネットで検索すると色々出てきますが、次のようなものです。
「遺言書(タイトルをつける)
私、○○●●(XX年XX月XX日生)は、全財産を妻(夫)○○■■(YY年YY月YY日生)に相続させる。
令和●年●月●日) 住所氏名 印鑑」
*全部手書きの自筆であることが必要です
*公証役場に頼むと、手が動かせない人でも口述で作成してもらえます(有料)
これだけでも書いておいていただけると、残された人たちはとても助かります。
4 信託について
信託とは、一言で言うと、新しい財産の管理の仕方のことです。会社でやっているところと民間でやっているところがあります。
最近は、信託がビジネスチャンスのように言われていて、いろんな法律家が取り組んでいますが、意味のある信託がどれだけあるかは疑問です。
「信託さえあれば大丈夫!」と親御さんが思っているのは危ないかもしれませんので注意してください。
いろんなやり方があって、一長一短があるので、いろんな制度を組み合わせるのがいいかと思います。
家族だけで決めてしまわない方が良いです。専門家に相談してみてください。
5 きょうだいの立場からできること
最後に、きょうだいの立場で今すぐにできることとは何かをお聞きしました。
5-1 安易に後見人を引き受けない
「子ども(障害者)が未成年のうちであれば親が勝手に後見人を選べる」という手法が流行っていると聞いています。それをきょうだいにしてしまえば良いとセミナーなどで話している専門家がいるようです。これは慎重になるべきで、きょうだいの方は気をつけて欲しいと思います。
5-2 親の協力を得る(遺言など)
また、これまでの内容からおわかりいただけたかと思いますが、遺言を書いてもらえていないと、きょうだいが結構困ることになります。ですので、親御さんに何らかの対策をしてもらうことが大事です。
基本的に、同居していない家族が、自分の生活を崩してまで、兄弟姉妹などの面倒を見なくていいよ、ということになっています。
たとえば、家族の誰かが生活保護を受けることになる前に「扶養できないですか」という問い合わせの手紙が来たりしますが、「できません、余裕がないです」と回答すれば、「あ、そうですか」と思ってもらえることが多いです。収入まで調べられることはほとんどありません。
5-3 親と話しづらいときどうするか
「障害のある子のために知っておいてほしい」という伝え方をすると、受け入れてくれる親御さんもいます。
何よりもまず、このような問題があることを知ってもらうこと自体がとても大切です。きょうだいが説明したり説得したりするよりも、ファミリアのような団体の勉強会に「私もきょうだいとして色々知っておきたいから一緒に来てくれないかな」と伝え、一緒に参加してもらう方が、親御さんも冷静に聴くことができると思います。
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