2月に「茶話会」という気軽なタイトルで、きょうだいが自由に話をするイベントを行いました。
2つのテーブルに分かれてお話ししてみました。
構成メンバーの年齢層などによって、話の内容が若干変わったように感じます。
今後は、年齢別などでグループ分けした形も取り入れてもいいのかもしれません。
親の対応について
・親にキョウダイの障害について教えてもらった記憶はない。私が小学生になり、キョウダイが特別支援学級に行き、周りと違うと思った。なんでどこが違うのかと思っていた。障害を教えてくれたのは特別支援学級の先生。
・キョウダイの障害については、後になってわかることが多かった。
・父は何も言わない。親なきあとなどについては、母と相談している。
友人など周りの人たちとの関係について
・中学や高校などで、家族の話題になって「きょうだいは?」ときかれることが多かった。その時は、曖昧にごまかしていた。今は言えるけど、あまり兄弟姉妹のことはきかれない。
・仲の良い友達には早く伝えた。
会社の人(親しいというわけではない)に家族などの話が出てきて、こんな風に話した。
自分「お兄ちゃんは独身」
同僚「何歳?」
自分「45歳」
同僚「結婚してないの?」
自分「結婚したくないみたいだよ」
・病名をいうと、偏見を持たれるのではないか。言ってしまうと楽になる。人に言っていいかどうか、葛藤する。
・「兄弟姉妹に知的の人いるの?それじゃ(結婚は)ダメじゃない」と言われたことはきつかった。
・兄のことを高校になってから友達に話した。でも友達はすでに知っていた。
結婚したいと思っていた相手から「将来は私がお兄さんの面倒見るの?」と言われて腹が立って破談にしたことがある。そんなことをお願いするつもりもなかったが、(そういったことを不安がって結婚を悩むというところに)「その程度の『好き』なのか」と思った。
・高校時代仲が良かった2人の友人も、後から知ったけれどもきょうだい児だった。一人は統合失調症、一人はパーソナリティ障害のキョウダイがいた。みんな家族の中でバランサーになっていた。だから気が合ったのかもしれない。
・就職先も決まり。大学を出ようというとき、ある人に「障害者について考えることは、家族について考えることだ。その進路で本当にいいのか」と言われて看護師を目指すことにした。大学に入り直した。
キョウダイ・家族に対する困りごと
・親の介護とキョウダイの世話のバランスを取るのが課題。金銭的な面、財産など、具体的に話をしておけば良かったと今は思う。手続きなどやらなければならないし、実務など、現実としてきょうだいが対応しなければならない状況。
・映画を母とキョウダイと観に行った。(当初)この日に行こうと決めていた日に姉が熱を出し、違う日に行った。「私またガマンするのか…」「ずっとこれかよ…」と。
また実家に帰りたくなくなった。温泉に行っても母はキョウダイにつきっきり。
・キョウダイといると大きな声を出したり恥ずかしいと思うことも。
・(キョウダイのことを)恥ずかしいという気持ち、小さい頃あった。大きくなって思うことは、旅行したかったなぁということ。
・家族旅行したかったけど、(自分が)離れて住んでたから。自分を抜きに旅行に行っていて。そこが悔しかった。キョウダイに文字を読んだり書いたりして教え、若いときは入っていたけど、だんだん入らなくなった。それを壊したのは両親。
・(家族会議を)母が拒否している。私が入って、区の人に来てもらったときに、キョウダイは話していた。母は(キョウダイのことを)自分中心に動かしていたのもあって、私が色々することに「何するんだ」と責められる。
・母と二人で出かけていても、キョウダイの話をする。
・きょうだい支援の論文を見えるところにおいても母は見ようともしない。
・施設内でしっかり計画を立てて準備をしてきょうだい会を立ち上げようとしているが、親御さんたちが反対していてなかなかGOサインが出ない。「きょうだいたちに十字架を背負わせるのか」という意見がある。
・健常の同胞同士の確執というものもある。やはり誰かにケアの負担が偏ってしまう。正直言って仲良くない。
自分は休日をキョウダイの世話に当ててやってきた。でも健常の同胞は自由に暮らしている。一緒に映画に行くことになって、ステラプレイスの映画館で観ようということになったんだけど、同胞はスクエアカードのポイントがたくさんたまっていた。「私は映画や自分の好きな買い物に行く余裕なんか全然ないのに!」とイラッとした。
・母がキョウダイに向かって、「一緒に死のう」と言う。キョウダイも、「家にいたい」と泣きながら言う。
「きょうだい」について思うこと
・きょうだいが面倒見ないといけないということはないし、「きょうだいの人生」ではなく「自分(個人の本質)の人生」を歩む。きょうだいが犠牲になることはない。シブショップなどで人から話を聞いたりする中で、兄・姉と妹・弟の立場でも違うのかなと。兄姉はどんなキョウダイでも心配するというか。。。
・看護師としての仕事が自分のキョウダイ関係のことに役に立っているし、仕事にも、きょうだいとしての視点が役に立っている。
自分自身の病気など
・自分自身も双極性障害で精神科に通院している。めちゃくちゃな生活をしていた時期もあった。ガス管をくわえて自殺を図ったこともあった。10年くらい鬱になっていて、現実と向き合えないで時間を無駄にしてきた気持ちがある。
・うつ病の診断で5年くらい治療していたことが、2回くらいある。それ以外にも不登校など入れるといろいろとあった。いろいろな人との出会いを通して自分と向き合う作業を続けているうち安定するようになった。
きょうだい活動について
・10代のきょうだいたちも苦しんでいるのでは。自分らしく過ごせていない子どももいるのでは。今日きて良かった。(でも)思春期の子たちには(このような会は)敷居が高いのでは。
・きょうだいの会に行ったことを母に伝えたら喜んでいた。母から「(あなたは)自分で情報を拾いに行って、自分でなんとかしようとして助かっている」と言われた。
・専門職の人がいて、参考になった。
・皆さん、考え方や悩んでいる事もそれぞれでしたが、こんな見方もあるんだなぁと参考になりました。みなさんの話を聞いていると元気が出る気がします。
・きょうだいの先輩の方々に話を聞いていただけて、少しすっきりすることができました。ありがとうございました。
・自分の年代と近い方がおられていろいろ勉強になりました。若い方の気持ちを汲みとって色々ききたいなと思います。
・キョウダイについて、人それぞれ色々な思いがあるのだなぁ…と感じました。緊張していたり、比べる必要がないと分かってはいても、障害の種類やレベルの差が気になってしまい、あまり話せませんでした。
・いろいろな年代の方と話せて良かったです。今後も参加できるときは参加したいと思います。
・今回、きょうだい茶話会を通して、様々な年齢層のきょうだいと交流できたことは非常に充実した時間でした。
・たくさんお話が聞けてなんだかうれしかったです。同じ様な思いをしている方がいるとわかって勇気が出ました。
・自分もきょうだい支援をしたいと思っている。まずは近い世代から、それから、だんだんと広げていきたい。この「きょうだい」という言葉をもっと世の中の人たちに知ってもらいたい。
主催者の所感
今回は、「話したくなさ」に焦点を当ててはみたのですが、「気持ち」のアウトプットの練習というか、全員に話す時間が与えられることも必要かもしれないなとも感じました。
また、「相談をする」ということについての悩みが多いように感じました。
家族会議を開くのが難しい場合にはどうしたらいいのか?など。
そこで、「相談支援事業所」についてのパンフレットを見ながら、こういうところへとりあえず行ってみるということもできる、という話にもなりました。
私は3月に入ってから、東京のケアラーアクションネットワーク主催「きょうだいの集い」に参加してきました。「きょうだい」の課題は、自分の気持ちを表現することに慣れていない(気持ちをそのまま感じることすら避けている)というところかもしれません。心理療法的なワークを取り入れたイベントの開催も検討してみてもいいのかもしれません。併せて、制度の勉強もできるといいかもしれないですね。
次回は、4月7日(土)14時〜「第2回きょうだい茶話会」を行います。
お申し込み方法などは、イベント情報のページをご覧ください。(白石未佳子)